メタバースでEC、セイコーグループが描くビジネスモデル
セイコーグループ傘下のセイコーソリューションズ(千葉市美浜区、関根淳社長)は、2023年6月をめどにメタバース(仮想空間)を活用した電子商取引(EC)事業に参入する。ブロックチェーン(分散型台帳)技術による安全性の高いECプラットフォーム(基盤)を構築。高級品を中心に出展者を募る。次世代インターネット技術「ウェブ3・0」時代のプラットフォーマーを目指す。
独自のメタバース基盤「メタプレイス」は、ブロックチェーン技術の活用によって特定の管理者が存在せずに事業などを推進する「DAO(ダオ=分散型自律組織)」の考え方に基づいて設計。分散、自律、安全、高性能といった四つの特徴を持ち、今後ブロックチェーン技術を組み込む。
新たに開発したメタバースとECを組み合わせた新技術「セイコーメタバースforEC」は、メタプレイス上に実装する。
商品の3次元(3D)化に加え、実店舗で買い物をするような世界観を表現する。また店舗の接客員を模したアバター(分身)を活用し、遠隔接客で対応する。宝飾品や時計、百貨店など高級商品を扱う企業向けを想定し、セイコーグループのブランド力を強みに訴求する。出展企業が月額数万円からの料金を支払う形式を想定する。一度に50人がアクセス可能な設計で、登録できる商品数や商品の入れ替えといった詳細は今後詰める。
また一人ひとりの顧客に対してデータに基づいた1to1マーケティングを展開。顧客の名前や年齢などの属性情報に加え、空間内での行動データを収集・分析しデータに基づいて接客する。顧客がどこで立ち止まって商品を見たかや購買に至ったかなどの情報を拾えるため、マーケティング活動に生かせる。
日刊工業新聞 2022年12月28日