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国内初の携帯キャリア店舗をメタバースに開設したソフトバンクの手応え

国内初の携帯キャリア店舗をメタバースに開設したソフトバンクの手応え

ソフトバンクがメタバース上に開設した携帯電話の仮想店舗。店員がアバターになって接客する

ソフトバンクは6月、メタバース(仮想空間)上に携帯電話店舗を開設した。実際の店員がアバター(分身)になり、同社の携帯通信ブランド「ソフトバンク」や「ワイモバイル」のサービスなどについて質問を受けたり、説明をしたりする。アバターが接客する国内初の携帯キャリア店舗だ。メタバース・NFT部企画課の土屋茉由氏は、これまでの利用状況について、Z世代を中心に「継続的に来訪してもらっている」と手応えを示す。

ソフトバンクは、世界で3億ユーザーが参加するアジア最大規模のメタバースプラットフォーム(基盤)「ゼペット」内に、仮想店舗を立ち上げた。利用者は、ゼペットのアプリケーションをスマートフォンなどにダウンロードすると、無料で3D(3次元)アバターを作成。そのアバターで来店できる。

「気軽に立ち寄れる環境をつくりたい」と話すのは、加藤欽一メタバース・NFT部長。アバター店員は10―21時まで接客を行う。AI(人工知能)ボットによるチャットでのサポートも提供している。リアル店舗に来訪する際には、基本的に事前予約が必要だが、仮想店舗では予約不要。具体的な目的がなくても来訪しやすくなり、来店することへのハードルが下がる。

ソフトバンクが仮想店舗で提供するのは顧客サポートだけに限らない。同社オリジナルのキャラクターと記念写真が撮れるゾーンを用意するほか、アバターが着用できる、帽子やバッグなどのファッションアイテムも販売する。「ソフトバンク」や「ワイモバイル」以外の利用客も立ち寄りやすい。

一方、現時点では法律上の問題などがあり、仮想店舗上で、携帯電話サービスの契約や料金プランの変更を行えない。オンラインショップに誘導してもらい、同ショップで契約や商品購入を行う流れになっている。

加藤部長は「リアルとオンラインで、どちらかが優位になるという意識はない。多様性が大切だ」と強調する。仮想店舗とリアル店舗の両輪で、顧客ニーズを取り込む構えだ。(張谷京子)

日刊工業新聞 2022年11月18日

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