自動運転「レベル4」バス運行、ソフトバンク系が複数エリアで定常運行へ
ソフトバンク傘下のBOLDLY(ボードリー、東京都港区、佐治友基社長)は、2023年内に、特定条件下で運転を完全に自動化する「自動運転レベル4」のバスの定常運行を複数の地域で始める方針を固めた。4月に新制度が施行され次第、都公安委員会に申請する。政府は25年をめどに40カ所以上でレベル4相当のバスやタクシーを使った公道での自動運転移動サービスの実現を目指している。民間主導でサービスが広がれば、目標達成に弾みが付く。
ボードリーは、複合施設「羽田イノベーションシティ」(東京都大田区)や北海道上士幌町、茨城県境町の中心部での自動運転バスによる定常運行を、運転手のいないレベル4に引き上げる。まず4月に交通量が少ない羽田イノベーションシティを都公安委員会に申請する。信号があり、車や人が混在する上士幌町や境町は、羽田イノベーションシティでの運行を踏まえ、申請時期などを判断する。
羽田イノベーションシティで運行する道路は私道だが「みなし公道」であるため、道路交通法が適用される。20年から日本交通や鹿島、マクニカなどと定常運行に取り組み、レベル4への引き上げにめどを付けた。
ボードリーは運行管理、事故対応などを担うために配置が求められる「特定自動運行主任者」を車両に同乗させる方針。運行時に車両や乗客を見守る遠隔監視者も別に置く。将来は特定自動運行主任者が遠隔監視に当たる体制に切り替える計画。
レベル4での運行は技術面や安全面でのハードルが高く、申請する地域は、政府が支援する福井県永平寺町などに当面限られる見込み。今後、同社の取り組みが他地域へ横展開する際の一つのモデルケースになる。
政府は自動運転移動サービスを通じ、人口減少が進む地域で住民の移動手段の確保につなげたい考え。30年までに100カ所以上で実現することを目標に掲げる。
20日にはレベル4の運行許可制度を盛り込んだ改正道路交通法を、23年4月1日に施行することを決定。サービス事業者が都道府県の公安委員会に提出する計画を施行日から受け付けることも決めた。
自動運転移動サービスをめぐっては、ホンダ、SOMPOホールディングス(HD)が出資するティアフォー(名古屋市中村区)などが20年代半ばの提供開始を目指している。