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非常時にFCV活用、トヨタ・エナジアなど検証実施

トヨタ自動車、エナジア(福島県郡山市)、郡山観光交通(同)、福島県浪江町は共同で新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の地域水素利活用技術開発事業に採択された。「マルチパーパスFCEVの給電技術を活用した新たな水素利活用モデルの構築」として、トヨタが製作する燃料電池車(FCV)3台を導入。2025年度まで実証や課題解決に向けた検証に取り組む。

トヨタはこれまでの燃料電池(FC)技術を活用したさまざまな実証を福島県内で予定。福島県での水素利活用を加速し、本事業を通じてFCVの給電に関する技術課題解決を図るとともに、新たな水素利活用のモデルを整備する。

このため給電能力が高いFC小型バス、キッチンカー、営業用配送車をトヨタグループで製作。23年3月から郡山観光交通、エナジア、浪江町に順次、引き渡す。

エナジアは、電気自動車(EV)やFCVと建物の間で電気を充放電する「V2Xシステム」を実証する。V2Xは事業継続計画(BCP)対応が求められる建物で非常時に三相電力で高出力、あるいは大きな突入電流が必要な機器を稼働させることができる。

エネルギー容量が大きいFCVは高出力のV2Xとの親和性が高い。これらに対応したV2Xシステムを実証・開発し、非常時のレジリエンス(復元力)向上につなげる。

地域の脱炭素化に向けた基盤事業に育てていくとともに、FCVの移動体電力を活かし、V2Xを活用した広域防災連携を構築する。

日刊工業新聞 2022年12月27日

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