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学界・半導体業界で異例の大注目「チラー制御技術」の正体

伸和コントロールズが成果
学界・半導体業界で異例の大注目「チラー制御技術」の正体

伸和コントロールズ公式サイトより

伸和コントロールズ(川崎市麻生区、山本拓司社長)が半導体製造装置向けチラーのスマート化を狙って開発した自律制御・故障予知技術が、学界や半導体業界で注目されている。同技術に関する論文が、11月に開かれた半導体関連の国際学会「第43回ドライプロセス国際シンポジウム」の講演の演題として採択された。ドライエッチングなどの半導体製造技術の研究発表が中心となる同会合で、チラーに関する論文が紹介されるのは極めて異例だ。

開発したのは半導体製造装置などの温度調節に使うチラーを自律的に制御したり、故障を予知したりできる技術。ドライエッチング工程で生じる温度変化を即座に検知してチラーを制御し、エッチング装置の温度を素早く調節するほか、ポンプの故障を人工知能(AI)で予知する。チラーのように半導体製造装置の付帯設備として使われるサブシステムに、こうした機能は今まで備わっていなかった。ただ実用化がどこまで進んだかは、明らかにしていない。

この成果について同社の「未来事業創成クラスタ」部門で参事を務める池田陽介氏らがまとめた論文「サブシステムをインテリジェント化するためのフィードフォワード温度制御技術と故障予知技術の開発」が、大阪市内で開かれた同シンポジウムで講演の演題に選ばれ、論文集に掲載されることになった。

専門家によると大学や半導体メーカーの研究者・技術者が投稿したもの以外の論文が採択されるのは異例。同社は「半導体技術の向上に大きく貢献できると認められた」(経営企画担当)と自信を深めている。


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日刊工業新聞 2022年12月26日

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