「マスク」「3密回避」はコロナ以外の飛沫感染症予防にも有効、広島大が効果裏付け
広島大学の伊藤公訓教授らは、新型コロナウイルス感染症拡大への対策により他の飛沫感染の病原菌の検出数が減少したことを明らかにした。大規模オープンデータベース「日本感染症予防・医療疫学サーベイランス」を解析。新型コロナ感染対策としてマスクの着用やソーシャルディスタンスなどの予防対策が始まった時期に、飛沫感染症が減ったことが分かった。新型コロナ以外の飛沫感染症にも予防対策に効果があることを裏付けた。成果は、医学系の英科学誌に掲載された。
データベースに登録された約200施設の入院患者を対象に、細菌培養検査で分離された10菌株の細菌数の時系列の変化を解析。新型コロナの流行初期の前後に細菌性肺炎の原因である肺炎球菌とインフルエンザ菌、扁桃炎を引き起こす化膿レンサ球菌の3種類の検出数が減少し、2020年末まで維持されたことが分かった。
一方で黄色ブドウ球菌や大腸菌、腸球菌類などの接触・自家感染の細菌検出数に変化はなかった。個人の感染予防に対する行動の変化が細菌感染に影響を与え、新型コロナだけでなく飛沫で感染する細菌に効果があることを示した。
日刊工業新聞 2022年12月22日