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最速入社4年目で社長になれる!三井物産の新人事制度の狙い

三井物産は最速で入社4年目の社員を関係会社の社長など経営ポジションに起用する人事制度を導入した。20代で本社の管理職に就くことも可能になる。優秀で意欲がある若手に早い段階から経験を積ませることでよりスピード感のある成長につなげる。

これまでは3年間は「担当職1級」としてビジネスの基本を学び、そして、「担当職SF群」として経験を積む。その後、チームリーダーなどの管理職や関係会社の経営ポジションに起用されるには人事評価の累積点が必要なため、一般的に入社10年目だった。

どれだけ結果を出しても累積点が壁になっていたことから、現行制度と並行して「個で判断する」(人事総務部HR戦略第二室の岩井健児次長)ため、2021年7月に今回の「キャリアチャレンジ制度」を導入した。

同制度に基づき、KDDIと共同出資で22年に設立したジオトラ(東京都千代田区)の社長に陣内寛大氏を抜てきした。就任当時は入社5年目の29歳で、三井物産史上最年少の関連会社の社長だ。同社は人流を中心に地理空間上の情報を人工知能(AI)で分析し、可視化できるプラットフォームで都市のデジタル変革(DX)を推進する。

このビジネスモデルを陣内ジオトラ社長は周囲のバックアップを受けながら構築したほか、KDDIとの交渉なども進めた。プロジェクトが進行する過程で仕事ぶりに加え、人間性を含めて評価された。

本人の意思と本部長の推薦により抜てきされるが、経験が浅いことから、その関係会社の事業運営に責任を持つ部署がフォローする。また同僚が実際に経営ポジションに就任しているため、周囲にも刺激を与える。

10月21日時点で陣内社長を含めて30代前半の8人の男女が関係会社の経営ポジションで活躍する。人事総務部HR戦略第二室の浄法寺未知生次長は「背伸びをさせる環境を提供し、頑張ってもらい、次世代の経営層、リーダーを育てる」と言葉に力を込める。

日刊工業新聞 2022年11月22日

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