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アイシン・ジェイテクト・デンソー…トヨタ系が次世代車用製品の開発を加速している

アイシン・ジェイテクト・デンソー…トヨタ系が次世代車用製品の開発を加速している

ジェイテクトのステアバイワイヤの走行試験。ハンドルではなく、レバーで車を操作できる

トヨタ自動車グループ各社が、電動化や自動運転など次世代車両を見据えた製品の先行開発を加速している。モーターやインバーターなどを一体にした駆動装置「eアクスル」をはじめ、自動運転向けに高度な制御を実現する操舵装置などの開発が進む。各社は既存のエンジン搭載車の動向をにらみながら、次世代車両向けに経営資源を最適配分する構えだ。(名古屋・川口拓洋)

アイシンは電気自動車(EV)の心臓部であるeアクスルを開発している。2022年4月にトヨタ自動車のEV専用車「bZ4X」向けに第1世代を開発・供給。25年には小型・高効率を実現した第2世代を量産するほか、27年ごろに第1世代に比べ体積が2分の1の第3世代を投入する計画だ。

第3世代も既に形になってきている。自社で保有するテストコースでトヨタの小型スポーツ多目的車(SUV)「CH―R」に第3世代を載せ、走行試験を重ねている。記者が試乗したところ、超小型ながらアクセルペダルを踏むと一呼吸置くことなくスムーズな加速を発揮した。EV向け部品を統括する山本義久取締役は「開発は順調。eアクスルは最重要製品の一つでリソースを集中投入している」と強調する。

ジェイテクトではステアリングとタイヤを機械的につながず、電気信号でタイヤを操作するシステム「ステアバイワイヤ」の開発が佳境を迎えている。高度な制御が可能となるため、自動運転につながる技術とされる。従来の円形ではない異形のステアリングの導入やボタンによる操作も可能になる。自動車事業本部本部長の松本巧取締役経営役員は「自動車メーカーやその先の一般利用者の目線で開発することを念頭に置いている」と話す。

他のグループ会社も次世代車両向け製品に本腰を入れている。デンソー電動車向け充電・電力変換・電力分配の機能を集約した「ESU」や自動運転向け高機能センサー「LiDAR(ライダー)」などの開発を推進。豊田自動織機は車載充電器とDC―DCコンバーター(電圧変換器)を一体化した新ユニットを完成した。

富士経済によると、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、EVの世界市場は35年に21年比8倍の8000万台に拡大する見込み。自動運転では米国や中国で公道実証が進むほか、日本では23年3月にも特定条件下で完全自動運転が可能な「自動運転レベル4」の公道走行が解禁される見通しだ。次世代車両の旺盛な需要を取り込もうと、各社の開発は熱を帯びる。


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日刊工業新聞2022年10月10日

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