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今後30年は「大相続時代」、125兆円資産が地域間を移動する

今後30年程度の間で相続される金融資産総額は650兆円弱で、その2割にあたる125兆円が地域をまたいで移動する見込みであることが分かった。三井住友信託銀行が試算した。資産の移動先としては東京圏が突出しており、全国から58兆円が流入。他地域への流出額を差し引いても相続の発生に伴い38兆円の資産増加になる。年間死亡数が140万人を超える「大相続時代」を迎えて、家計資産の東京集中が進む。

資産の地域間移動が膨らむ理由として、高度経済成長期の三大都市圏(東京、大阪、名古屋)への転入ラッシュの名残が挙げられる。地方の親の遺産を三大都市圏で受け取る相続人の母集団は1200万人と見られる。

全国11地域の家計金融資産の出入りに目を向けると、他地域から東京圏の流入額の大きさが目立った。東京圏は相続を通じた金融資産の流出額も11地域中で最大。合計19兆7000億円が出て行くが、流入額57兆8000億円との差し引きで38兆1000億円の大幅な流入超過となる。

資産の流入・流出ともに2番目に大きいのは大阪圏だった。ただ、流入超過額は2兆2000億円と東京圏と大きく差が開いている。流入額は19兆1000億円で東京圏の3分の1程度だが、流出額は17兆円で東京圏とあまり差がなかった。

地域間の資産移動が活発となる中、三井住友信託銀は相続や終活の際の信託機能を訴求したい考え。家族同士が物理的に離れた状況であっても「当社のサービスが対面でもオンラインでも可能になるように、使命感を持って進めている」と谷口佳充人生100年応援部部長は話す。

日刊工業新聞 2022年12月14日

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