最大市場で弱含み、コマツが見通す建機市場
コマツは2023年度の世界の建設機械市場が、22年度に比べて弱含むとの見通しを示した。最大市場である北米で、住宅着工件数減少の影響が本格化するとみている。欧州もウクライナ危機やインフレの影響で減少に向かうとみており、東南アジア市場の好調や鉱山機械の堅調持続でも補えない。一方で「落ち込むとは言っても08年のリーマン・ショック直後のようなひどい落ち込みになるとは考えていない」(小川啓之社長)とし、微調整にとどまるとの見方も示した。
住宅着工件数の減少はミニショベルの需要台数などに影響する。日本建設機械工業会(建機工)の統計では、北米向けミニショベルの輸出額が10月も前年同月比約1・5倍と堅調だが、徐々に影響が現れるとみる。他方でエネルギー高や資源高を背景に鉱山機械は23年も伸びが続き、これと公共投資需要が下支えとなって落ち込みは限られるとみている。為替については米国の利上げ減速などで1ドル=150円を目指すような動きにはならないとみており、引き続きコストダウンと値上げ浸透に力を入れる。
中国の建機需要も22年度に引き続き、落ち込むと予測する。中国工場の生産能力の適正化に注力する。現状の年産1万7000台を1万台に引き下げる。電動化や水素燃料電池、情報通信技術(ICT)対応建機などの研究開発は「成長分野の投資」(同)ととらえ、23年度も強化する方針だ。
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日刊工業新聞 2022年12月06日