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トヨタが導入、「グループ内派遣」新制度の全容

トヨタ自動車はグループ内で人材を相互に融通する新たな派遣制度を導入する。トヨタが求めるスキルを持つ人材がデンソーアイシンなどグループ企業にいる場合、本人の希望と合わせて出向や応援といった形で業務に就いてもらうことなどを想定する。モビリティー産業の発展で多様な技術や技能が求められる中、人材需給のマッチングを一層推進し、希望の職場・職種で個々の能力を最大限発揮してもらうことで、グループ全体の競争力につなげる。

2022年度内に職場や技能などを絞った形で導入を始め、23年度には制度設計も含め仕組み作りに着手する方針だ。

同制度はグループ会社がトヨタに要望したり、グループ会社間で人材を融通することも想定する。現在、グループ各社から求める人材やスキルなどの情報を収集している。将来は各社の職場ニーズや人材データを登録したデータベースを作成し、双方をつなぐ、マッチングアプリのようなツールを整備することも視野に入れる。

トヨタはこれまでも総合職にあたる事技職や、製造業務に従事する技能職で、管理職クラスに昇格する際に仕入れ先や販売店などに派遣し、品質管理や効率化など各社が抱える業務課題を解決する研修を実施している。

こうした活動を通じ、ノウハウを持つ人材を派遣してほしいといった声は増えているという。同様の活動をグループにも広げ、多様な人材の活躍の場を広げるとともに、制度の詳細を固めていく。

産業界では人材獲得競争が年々激化し流動性が高まる。トヨタの従業員でも「社外で自身の力を試したい」といったニーズがあるという。マッチング制度があれば優秀な人材をつなぎとめ、意向や特性に合った職場を提案できる可能性がある。

また、従業員の希望と担当職務でミスマッチが生じた際に離職せざるを得ないケースもあるが、離職者の発生を抑える効果も期待できる。マッチング制度の導入で採用コストの効率化も見込めそうだ。


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日刊工業新聞 2022年12月01日

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