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住友電工が設備投資額を5%減に抑えるワケ

住友電気工業は2023年度の設備投資を22年度見通し比約5%減の1900億円程度に抑える方針だ。22年度の設備投資が計画通りに進むと、23年度は4年ぶりのマイナスになる見通しだ。欧米の金利上昇や中国のロックダウン(都市封鎖)などで強まる世界経済の減速リスクに備える。投資を厳選し、在庫水準を抑え、財務の健全性を保つことで不透明な経営環境の乗り切りを図る。

住友電工の設備投資は16年度以降、年1700億―2000億円強で推移している。23年度は1900億円程度を下限に抑制する。

主力事業の自動車用ワイヤハーネス(組み電線)は、半導体など部品不足やロックダウンによる減産の影響が大きい。受注が伸び悩むリスクや採算性を精査する確度を高め、設備投資は妥当性の高い案件に絞る。

コロナ禍や部品不足、ロシアのウクライナ侵攻による資源高騰など地政学リスクが多発する中、急な減産で在庫が膨らむなど、設備投資計画の策定が難しくなっている。成長分野には積極投資するが案件を見極め、休日稼働で受注増に対応できる場合などは見送る。

欧米を中心にインフレが進み、金利引き上げが広がる。企業は金融機関からの資金調達コストが増大。住友電工も22年4―9月期の支払利息が56億円と前年同期比30億円増加した。インフレは早期に収まらず、高金利が続くとの予測が強い。

設備の納期も部品不足で半年から1年程度延びている。住友電工は設備の早期発注も慎重に進め、不急と判断すれば取りやめ過大投資を避ける。棚卸し資産削減や営業債権の早期回収も強め資産効率を改善し、高金利下の負債増大を抑え込む。

日刊工業新聞 2022年12月02日

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