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住友理工社長・清水和志氏/温室ガス3割減目標

虎視 勝ち筋探る車部品#06

―コロナ禍で自動車の生産変動が激しい状況が続きます。
 「完成車メーカーが挽回生産に踏み切っても、当社は在庫を多めに持つなどの対策をとっており3―4月くらいまでは対処できるだろう。それ以降はさらなる対応策が必要になる。生産体制の中でネックになる点を洗い出して増強したい。人の確保も重要。増産はありがたいので、グローバルで供給を止めないように感染対策を引き続き徹底する」

―原材料価格の高騰が続いています。
 「米国での鋼材価格の上昇が大きく、21年度で(国際会計基準の)事業損益ベースで約100億円のマイナス要因だ。自動車メーカーとの取り決めで(価格の反映が)1年の期ずれになっている。物流費もコンテナ不足で高騰している。高騰した分は、自動車メーカーにより早く値上げを受け入れてほしい」

―カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)にはどう取り組みますか。
 「30年度までに生産などの温室効果ガス排出量を18年度比3割減らす目標だ。従来技術の改善と技術革新の両面で取り組む。例えば、炉の熱効率向上に役立つ薄膜高断熱材『ファインシュライト』は有望株の一つだ」

―ファインシュライトは電動化対応製品としても期待できます。
 「エネルギー管理の効率化に役立つ。電池のセパレーター向けで開発に取り組む」

【記者の目/親会社と連携深化カギ】
 住友理工は電動化対応を着々と進める。ファインシュライトのほか、エンジンの振動などを抑える技術を生かしてモーターの振動などを抑える「モーターマウント」など、新技術や新製品の展開に余念がない。さらに親会社の住友電気工業との連携を深められれば、電動化を加速するための基盤が、より一層強化される。(名古屋・山岸渉)

日刊工業新聞2022年2月7日

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