円安影響で輸入額が拡大、貿易赤字が過去最大に
財務省が17日発表した10月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は、2兆1623億円の赤字となった。15カ月連続の赤字で、赤字額は比較可能な1979年以降、10月として過去最大を更新した。原油など資源価格の高騰や円安の影響で輸入額が大きく膨らみ、輸出額を上回った。
輸入額は前年同月比53・5%増の11兆1638億円となり、過去最大を更新した。増加は21カ月連続。アラブ首長国連邦(UAE)からの原油や豪州からの液化天然ガス(LNG)、石炭などの輸入が増えた。
輸出額も同25・3%増の9兆15億円と過去最大となった。20カ月連続で増加した。米国向けの自動車や韓国向けの集積回路(IC)、豪州向けの軽油などの輸出が伸びた。
地域別では、米国向け輸出が同36・5%増の1兆7777億円と、13カ月連続の増加となった。米国からの輸入は同47・1%増の1兆573億円となり、20カ月連続で増加した。自動車や原動機、建設用・鉱山用機械などの輸出が増えた。輸入は医薬品やLNG、石炭などが増加した。
中国向け輸出は同7・7%増の1兆7202億円で、5カ月連続の増加となった。中国からの輸入は同39・3%増の2兆3915億円となり、6カ月連続で増加した。自動車や音響・映像機器、重油などの輸出が増えた。スマートフォンや衣類・同付属品、パソコンなどの輸入が増加した。
日刊工業新聞 2022年11月18日