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日立が104億円で鉄道車両製造の新工場、製造する車両の中身

日立が104億円で鉄道車両製造の新工場、製造する車両の中身

生産開始時の新工場(イメージ)

日立製作所は、鉄道事業子会社の日立レール(英ロンドン)が米メリーランド州ワシントン郡に鉄道車両製造の新工場を建設する。投資額は7000万ドル(約104億円)。2024年4―6月の開業を予定し、ワシントン首都圏交通局向けの地下鉄車両256両を製造する。フル稼働時の月産能力は20両。日立のデジタル技術を活用したサービス「ルマーダ」を生かした先進デジタル工場とする。

新工場は約16万6000平方メートルの土地に新工場と800ヤード(約730メートル)の試験線を建設する。地下鉄車両から高速車両まで幅広い車種を生産できる。現地時間18日に建設工事のくわ入れ式を行った。新工場はメリーランド州のほか、コロンビア特別区、バージニア州といった周辺地域から直接雇用460人を含む1300人を雇用し、年間3億5000万ドル(約520億円)とする雇用者の収入と地域への経済効果をもたらすとしている。

ワシントン首都圏交通局の路線向けに8000系と呼ばれる地下鉄車両を納入する。同交通局との契約はオプションとして最大800両の設計・製造を含み最大で22億ドル(約3278億円)になる。8000系車両は既存車両より軽量で安全、エネルギー効率が高い。2両1セットの車両に130人分の座席を設置。Wi―Fi無線、回生ブレーキ、交通情報表示のデジタルスクリーン、防犯カメラ、換気装置、サイバーセキュリティーなどを備える。1980年代初頭から運行する2000系、3000系車両を新型車両に置き換える。

日立製作所の鉄道事業の22年3月期売上高は前期比14・7%増の6283億円。欧州を中心に米国やアジアで鉄道車両や信号システムなどの事業を展開する。米国の製造拠点は3カ所目となる。


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日刊工業新聞 2022年10月20日

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