初音ミク、ファッションのためのロボット、マツコロイド―ロボットと人間の関係を探る
「ロボット未来フォーラム」で語られたこと。(前編)
「機能のないウェアラブルデバイスを人々がつける未来が来る」
きゅんくん:ロボティクスファッションクリエイターのきゅんくんと申します。よろしくお願いします。私、ロボットの中で産業ロボットが一番好きなんですけども、そのきっかけとなったのがこの国際ロボット展で、高校生の時に来た時に産業ロボットに感銘を受けて、そこでお話しできるのが嬉しく思います。
1994年生まれです。小学生の時にロボットの開発者になろうと思って、中学のときに電子工作を始めました。高校生になってから被服部に入りました。服を作る部活なんですけど、そこでなぜかジャンク品を解体して服につけたりとかをしていました。光る服もそのころから作っています。それを大学生では「ロボティクスファッション」というふうに名前をつけまして、現在は機械工学科でロボットの研究などをやっています。個人でウェアラブルロボットの開発をしているんですけど、個人以外ではスマートシューズの「オルフェ」の開発メンバーでもあります。
あと「きゅんくん」という名前なんですけど、中学生のときに「くん」付けで呼ばれていたのが、きゅんになって、そのきゅんにくんがついてきゅんくんというあだ名に。それ以来、学校とかでもきゅんくんと呼ばれています。
2015年の3月に「METCALF(メカフ)」というウェアラブルロボットを発表しました。一カ月くらいで死ぬ気で作って、アメリカのテキサスで行われた「SXSW(サウスバイサウスウェスト)」で発表しました。普段、DMM.Make AKIBAというコワーキングオフィスで作業しています。
メカフは関節が6個あります。あらかじめプログラムした動きを繰り返していて、両側にアームがあるので、片側につき、3個で、実際3自由度です。今、新作をちょうど作っているんですけど、そっちのほうは5自由度で作っていてだいぶ動ける範囲を大きくしようと思っています。全長は1260mm、重さが2838gです。見た目だと結構大きく見えるんですけど、意外とそんなに重くないです。素材はアルミニウムで、塗装もしないでそのまま使っています。切削跡も好きなのでCNCの切削した跡もそのまま残してます。バッテリーはラジコン用のものを使っていて容量が結構大きいので1日デモができるくらいは余裕でもちます。
センサは今、搭載していないです。ファッションのために作っているからです。ファッションとしてアクセサリーのように着用することを目的としたウェアラブルロボット。メカフに物理的に人の役に立つような機能はいま、一個も搭載されていません。ファッションとしての外観のみの機能を持っています。
機能のあるウェアラブルデバイスがすごいいま盛り上がっているんですけど、それが発達した先には、機能のないウェアラブルデバイスを人々がつける未来が来るんじゃないかと思っています。現にいまの実際のウェアラブルデバイス技術にまだバッテリーの大きさなど課題が大きくて、だったら機能を取り除いてみて、一回機能のないウェアラブルデバイスを作ってみたら、ウェアラブルデバイスの本質的な何かがわかるかもしれないと。それで、こんなファッションのみの機能がないウェアラブルデバイスを作っています。技術が発達していくに従って機能もつけていけたらいいなと思っています。まだ若輩者なので、自分で技術を身に付けて、作っていきたいなと思っています。
――メカフをつくるときに一番大変だったところは?
きゅんくん:わたし、スケジュール調整が上手くできる方じゃないので、発表しなきゃいけない日のぎりぎり間際に徹夜とかでやってたりするのが。辛いですけど楽しいですね。工程管理とかもうちょっと上手くなりたいですね。
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