過去最高業績を更新する見通しのAGC、社長の自負
既存深化・新規探索”両利き経営”
2022年12月期の業績予想を2日に上方修正し、売上高が初めて2兆円の大台に乗るなど過去最高の業績を更新する見通しのAGC。平井良典社長は「事業ポートフォリオの変革により、複数の事業で安定的に利益を出す構造ができてきた」と自負する。23年12月期の営業利益目標は1年前倒しで達成できる見込みだ。
長期戦略では2月に23年と25年の目標を上方修正し、30年の営業利益目標を新たに3000億円と設定。これまで8%としていた「株主資本利益率(ROE)を継続的に10%以上にする」との目標も掲げた。10年に過去最高の営業利益を上げた後、4期連続で減益が続くなど業績は不安定だったが、改革が進み「近い将来、マーケットからの理解も得られるのでは」(平井社長)と期待する。
各事業で資産効率の改善に取り組み、23年に全社で営業資産利益率(ROCE)11%を目指す。建築用ガラスや、電子部材などは20%前後で推移し、半導体不足などで厳しかった自動車用ガラスも価格転嫁を進め25年には10%以上にする。同時に炭素効率も高める方針で、電子部材やライフサイエンスといった炭素効率もROCEも高い「戦略事業」を伸ばす戦略をとる。
16年に長期ビジョンの中で、既存事業を「コア事業」、成長性が高く資産効率の高い新事業を「戦略事業」と位置付けた。これが“両利きの経営”だ。そこから戦略事業は毎年約100億円ずつ営業利益を増やすなど軌道に乗りつつある。「30年には営業利益における戦略事業の割合を過半にする」(同)との構想を抱く。
18年に旭硝子から「素材の会社・AGC」となった。近年はバイオ医薬品の開発・製造受託(CDMO)事業などに積極投資。コア事業の深化と戦略事業の探索による両利きの経営に、今後は「市況変動に強い」要素を盛り込んでいく。