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「超小型衛星」事業化へ、“チーム福井”は世界に存在感を示せるか

「超小型衛星」事業化へ、“チーム福井”は世界に存在感を示せるか

キューブサット機のモデルとフュージョンプロのメンバー(右から3人目が山田会長)

福井県の産学官による、ふくい宇宙産業創出研究会(山田英幸会長=セーレン社長)は、超小型人工衛星の地上局運用ネットワークを構築する3カ年のプロジェクトをスタートした。これまで蓄積したキューブサット衛星の機体の開発・製造の知見を基に、衛星の運用と取得データの加工配信を含む一貫体制に発展させ、5年後をめどに具体的な事業化を目指す。

プロジェクト名は、ふくい衛星運用ネットワーク構築プロジェクトで通称・FUSION(フュージョン)プロ。セーレンが事業とりまとめ役で、福井テレビジョン放送、福井大学、福井工業大学が主要メンバー。今後、数社の地域企業の参加を想定する。

10センチメートル角の立方体を3個連結した3Uサイズのキューブサットを製作し、独自技術の光学カメラを搭載して2024年4―6月に宇宙に送る。ロケットの手配も自らでこなし、打ち上げた後は福井工大が保有する口径3・9メートルのパラボラアンテナと基地局で運用技術を習得する。地球観測の衛星データを効果的に社会に配信する手法も練る。

福井県工業技術センターが試験設備などで協力し、総事業費は福井県の補助金を活用して4800万円。

福井のチームが照準を合わせるのは、大手企業が手がける100機超の量産ではなく、数十機の中規模案件。「チーム福井の存在感を世界に示す」(山田会長)。福井県は15年から東京大学の協力で超小型衛星の知見を蓄積。今後はFUSIONプロが主体的な元請けとして、顧客からの相談、開発・運用、データ提供の地域産業化の展開を目指す。

日刊工業新聞2022年10月10日

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