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研削条件の選定を容易にするAIを生んだ珍しい共同研究

ナガセインテグレックス(岐阜県関市、長瀬幸泰社長)など研削盤メーカー4社は、加工対象物(ワーク)の形状や材料、仕上げ精度などに合わせた最適な加工条件やテスト加工の可否を人工知能(AI)が判断する技術を北海道大学などと共同で開発した。切削以上に経験知が必要とされる研削の条件設定が容易にできる。2024年3月までに各社の研削盤での実用化を目指す。

ワークの材料や求める条件を入力すると最適な砥石(といし)の仕様や軸回転・送りなどの加工条件をAIが選定する。さらに研削時の振動や主軸の回転・加工負荷のデータから加工不具合が発生する可能性を判断。調整すべき加工条件も示唆する。

ナガセインテグレックスは得意の平面研削盤でのAI活用を研究。ほかに心なし研削盤のミクロン精密(山形市)、円筒研削盤のシギヤ精機製作所(広島県福山市)、工具研削盤の牧野フライス精機(神奈川県愛川町)、研究機関として理化学研究所が参加。個々の研究成果を共有し技術を高度化した。

研削砥石は砥粒(とりゅう)の向きや分布を厳密には制御仕切れず、試し加工なしで最適な加工条件を導き出すのは難しい。参加各社は共同研究で、より使いやすい研削システムを実用化する。研削盤メーカー同士の共同研究は工作機械メーカーでも珍しい。ナガセインテグレックスとミクロン精密は、11月8日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開幕する日本国際工作機械見本市(JIMTOF2022)に試作機を出展する。(岐阜)

日刊工業新聞2022年10月3日

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