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自信過剰な人は収入の格差是正を政策に頼らない、東京理科大が明らかにしたこと

東京理科大学の岸下大樹講師らは、自信過剰な人は自分の能力に比べて所得が低い理由を経済の不公平と考えるが、そのことにより所得格差を埋めるような政策の支持にはつながらないという調査結果を公表した。米国での調査で明らかにした。不平等の拡大が進む現在社会で、政策の有効性などの検証に役立つ可能性がある。成果は英学術誌電子版に掲載された。

米国で約4500人を対象にオンライン調査を実施。回答者に自分の収入と本来稼げる力に関する自己評価を入力させたところ、回答者の大半が実際の収入と自己評価が一致しないことが分かった。さらに半数以上は自分の所得が自己評価よりも低く、米社会では多くの人が自分の能力以下の収入しか得られていないと考えていることが分かった。

能力と収入のギャップは、自分の能力の低さではなく経済の不公正さによるものと捉えていることが明らかになった。一方、能力と収入のギャップが必ずしも所得格差の是正や政府介入など、平等に向けた政策を支持するわけではないことが示された。

米国では運転者の約9割が「自分は平均的運転者より安全に運転している」と回答するなど、多くの人は自分の能力を過信する傾向にあることが数多く報告されている。

日刊工業新聞 2022年9月29日

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