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多種ドローンを集団飛行させる技術、防衛省が自衛隊の側面援助へ実証研究

多種ドローンを集団飛行させる技術、防衛省が自衛隊の側面援助へ実証研究

防衛装備庁の大多数ドローンによるスウォーム攻撃(イメージ)

防衛省は2023年度にマルチコプター型飛行ロボット(ドローン)など多種多様の無人機を集団飛行させるスウォーム技術の実証研究に乗り出す。ドローンから無人車両への指令など空と陸の連携、空と海上の連携動作も対象とする。人員不足対策として無人機を使った「無人アセット(装備品)防衛能力」の充実を急いでいる自衛隊の側面援助になる。

スウォーム技術はスポーツイベントで使われるように、数百機のドローンを発光ダイオード(LED)照明をつけて同時飛行させながら空中に絵を描く演出方法のイメージが強い。またウクライナ紛争では、ロシア軍の進路上空に偵察用のドローンを飛行させ、攻撃型ドローンにミサイル攻撃させる新たな戦術での活用が注目を集めた。

防衛省では21年度から無人機市場の動向を調査してきた。具体的な無人機の種類や機数、台数などを選定した上で、23年度から実証研究に取り組んでいく。23年度予算の概算要求に2億円を盛り込んだ。

自衛隊も1000機近いドローンを保有しているが、現状では1機ごとに隊員が操縦している。スウォーム技術の活用によって1人が多数ドローンを操縦できれば、操縦の人数を減らし、その分を別の分野へ振り向けられる。

警戒監視用ドローンと攻撃用ドローンを連携させて運用できれば、日本の領海への侵入を繰り返す中国船に対するけん制効果も期待できる。海上自衛隊は警戒監視用無人機や無人機雷排除システムの研究を進めており、これらの運用にも役立つとみられる。

日刊工業新聞2022年9月20日

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