東大など開発、屋外で走る動き計測できる「スーツ式モーションキャプチャー」の仕組み
東京大学の池上洋介特任助教と中村仁彦上席研究員らは、東大発ベンチャーのXenoma(東京都大田区、網盛一郎社長)と共同で、慣性計測装置(IMU)スーツ式の全身モーションキャプチャーを開発した。クラウド経由で利用できるため、屋外で走る動作も計測できる。モーションキャプチャーは身体にマーカーを着けてカメラで撮影するなどの制約があった。新技術で場所を選ばずに動きのデータを得ることができる。
XenomaのIMUスーツで肩や手首、足首など、18カ所の加速度や角速度のデータを集める。データをクラウドに送り、中村上席研究員らの全身筋骨格モデルに当てはめて解析し、全身の動きを再現した。
筋骨格モデルの筋肉は約500本。動きに加えて、どの筋肉がどの程度の力を出したのか推計できる。IMUの計測速度は1秒間に100回。ダンスなどの全身運動の計測には十分な速度になる。身長と体重、年齢を入力すると標準的な体格に体重分の重量を振り分けて計算する。
計測の初めに3回ポーズをとってキャリブレーション(校正)する。データ伝送や解析処理が必要なため、数分程度の動きの計測を想定する。実験では東大・安田講堂を2周する程度の連続計測ができた。テニスなどで試合中の動きを計測する際は、飲み物休憩など定期的に入るインターバルを利用する。
カメラの撮影範囲に制約されないため、屋外での計測に向く。アスリートのフォームの確認やトレーニングの効果評価などに提案していく。
日刊工業新聞2022年9月8日