パワー半導体の生産能力3倍、日立系が1000億円超投資
日立パワーデバイス(東京都千代田区、奈良孝社長)は、2027年までに電気自動車(EV)やエアコン向けなどのパワー半導体の生産能力を現状比約3倍に増やす。臨海工場(茨城県日立市)の前工程や山梨工場(山梨県中央市)のモジュール工程、委託先の工場でも投資する。設備導入や償却費を含めた投資額は委託先分も合わせると千数百億円規模となる見通し。安定供給のため国内生産比率を現状の約5割を7割程度に引き上げる。
現状、EVインバーター向けなどのシリコン(Si)絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)やエアコンDCモーター駆動用「高圧IC」の需要が高まっており、生産能力が不足している。
7割程度を外部に生産委託しているが、27年に向けた生産能力の増強後には、外部委託比率は9割程度になるとみられる。
ただ、感染症による海外工場の停止や地政学リスクを考慮し、国内工場への委託を増やすため、国内生産比率は7割程度に高まる。
社内では臨海工場の裏面工程を増強するほか、山梨工場のモジュール工程に自動化設備を導入して能力を増やす。委託先による設備投資に対しては、製品購入価格に上乗せする形で投資を負担するため、投資の期間は10年程度に及ぶ見通しだ。
シリコンIGBTは次世代品が近くサンプル出荷となる見込みで、その先の次々世代品も25年量産を目指して開発を進めている。
日刊工業新聞 2022年9月8日