トヨタとスズキは「売上高」過去最高、4-6月期決算会見で自動車メーカー各社が語ったこと
乗用車メーカー7社の2022年4―6月期連結決算が10日出そろった。為替の円安が追い風となり、マツダを除く6社が増収、トヨタ自動車とスズキの売上高は過去最高となった。23年3月期連結業績予想はトヨタとホンダ、三菱自動車が上方修正、4社が据え置いた。しかし原材料などの高騰や部品不足などが続き、先行きは不透明だ。各社は慎重な見方を崩していない。
「4輪車の販売台数減少や原材料の高騰影響がある中、全社一丸で収益改善に取り組んだ」。ホンダの竹内弘平副社長は22年4―6月期連結決算についてこう総括する。各社の営業損益は3社が増益、ホンダなど3社が減益、マツダは195億円の赤字となった。マツダの毛籠勝弘取締役専務執行役員は「出荷台数の減少が主な要因」と説明する。
4―6月期の販売台数は主力のインドで新型コロナウイルス感染拡大の影響が緩和したスズキと米国で好調だったSUBARU(スバル)を除く5社が、前年同期を下回った。
23年3月期の世界販売台数予想は、全社が据え置いた。「需要は堅調に推移する」(ホンダの竹内副社長)とみる。ただ生産調整が長期化し「需要の拡大に対し、在庫を使った販売が難しい状況」(日産自動車のアシュワニ・グプタ最高執行責任者〈COO〉)となっている。
加えて重荷となっているのが、原材料費や物流費の上昇だ。日産は、原材料高騰が営業利益を507億円押し下げた。販売奨励金の抑制などのプラス要因や為替の円安影響はあったが補えず営業減益となった。
23年3月期連結業績予想は、トヨタが売上高と当期利益、ホンダが売上高と営業利益、三菱自は売上高と各利益段階を上方修正した。「足元の為替状況による増益効果を反映した」(ホンダの竹内副社長)。ただ「不安定な経営環境は当面続くと予測しており、世界的な景気後退のリスクを織り込むべき状況」(三菱自の池谷光司副社長)と身構える。