破砕機の溶接で多軸ロボット生かす!3Kの払しょくを狙う

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破砕機のレーザー溶接を自動化するため、ロボットに必要な動作を覚えさせる

ウエノテックス(新潟県上越市、上野光陽社長)は、廃棄物中間処理業向け破砕機など量産品の溶接で多軸ロボットを活用している。破砕機のサイズは人の背丈を優に超えるため、巨大反転機と組み合わせて運用する。本社工場で2台が稼働し、人の手をほとんど介さないレーザー溶接を実現。空いた時間や人員は、カスタム対応や技術承継に充てることで高付加価値製品を生み出している。(新潟・渋谷拓海)

ウエノテックスの創業は1965年。特殊クレーンなど産業機械の開発・設計・生産を長年手がけてきた。個別工場に合わせた一品モノの生産が中心だったが、リサイクル現場で必要な環境機械の分野にも進出した。今では1軸破砕機や2軸破砕機、粉砕機など機種は豊富になったが、破砕機の基本設計は同じ。上野光陽社長は「どうにか効率化できないか」と思案していた。

そこで、10年ほど前にレーザー溶接を担う多軸ロボットを初めて導入した。投資額は1台約5000万円だったが、使い慣れないロボットがすぐに大活躍したわけではない。転機は8年ほど前のこと。破砕機よりもはるかに巨大な反転機を導入し、溶接用の多軸ロボットと組み合わせた。反転機で破砕機の外枠の向きをぐるりと自在に変更しながらレーザーを照射することで、溶接の自動化に成功した。

ロボットを活用し量産している破砕機(ウエノテックス提供)

ロボットは社員が退勤・帰宅した後も稼働する。受注量にもよるが、年間10台は安定生産できるようになったという。上野社長は「反転機を導入してメリットを感じた。ロボットと一緒に、もっと早く導入してもよかった」と振り返る。

ロボットの導入により、破砕機1台当たりの生産時間は従来比2―3割短くなった。余力は基本設計に追加するカスタム対応などのほか、熟練工が若手に技能を伝える時間に充てている。上野社長は「当社の溶接工は7人ほどで若手とベテランの二極化が進んでいるが、ロボット導入で技能継承する時間がとれるようになった」と明かす。

環境機械は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)や人手不足などの影響により近年引き合いが増えているという。同社は破砕機以外にも、人工知能(AI)を搭載した廃棄物選別機「URANOS(ウラノス)」を19年に発売。さらに5月には、有色光照射で人による選別を支援するシステム「ELENA(エレナ)」を市場投入した。

こうした製品を作る目的の一つに3K(臭い、きつい、汚い)とされる業界イメージの払拭(ふっしょく)がある。上野社長の「必要以上に労力をかけているところを減らしてあげたい」という、モノづくりに関わる者としての思いがその源泉だ。ロボット導入による余力は、こうした社会貢献型の製品にも振り向ける。

上野社長は「破砕機の注文がもっと入れば、メリットは全社的により大きくなる。先行きは今の2倍規模でフル稼働したい」と期待は大きい。

日刊工業新聞 2022年6月21日

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