老化でコロナ感染800倍に、京都府立医大が「血管内皮細胞」侵入解明
京都府立医科大学の池田宏二教授、的場聖明教授らは、若い血管内皮細胞と比較して老化した血管内皮細胞に新型コロナウイルスが感染しやすいことを明らかにした。実験では、感染早期の段階で老化した血管内皮細胞は、若い内皮細胞に比べて800倍も多いウイルスが細胞内に侵入していることが分かった。今後このメカニズムを詳細に明らかにできれば、高齢者の重症化を効率的に予防する方法や治療薬の開発につながる可能性がある。
血管内皮細胞は全ての血管の内側を覆う細胞で、血液の凝固を防ぐために抗血栓因子などを合成・分泌する。この機能異常は血栓形成を引き起こす要因となる。新型コロナウイルスは血管内皮細胞に感染して血管内皮細胞を傷害する可能性が示唆されていたが、詳細については明らかになっていなかった。
研究チームはヒト培養血管内皮細胞に新型コロナウイルスを感染させ、細胞内に侵入したウイルスを検出する実験を行った。この結果感染から6時間の時点で、若い内皮細胞に対して老化した内皮細胞は約800倍も多いウイルスが細胞内に侵入していた。成果は英科学誌サイエンティフィック・リポーツ電子版に掲載された。
日刊工業新聞2022年7月29日