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財務指標にROE設定、ソディックが抱える課題

ソディックは、2026年12月期を最終年度とする長期経営計画の中での財務方針を22年1月に改定した。財務指標として株主資本利益率(ROE)を新たに設定するなどし、資本効率を意識した事業運営とともに財務の健全性維持と機動的な株主還元に取り組む。同社は放電加工機や射出成形機、食品機械と幅広い商品群を持つだけに、各事業での投資をいかに効率良く収益につなげられるかが注目される。

同社は従来、同業他社と比べて自己資本比率が低い点を財務上の課題として抱えており、財務体質の強化に取り組んできた。16年に発行した80億円の転換社債型新株予約権付社債が21年4月に償還を迎え、9割以上が株式に転換されたことで、当初の財務目標であったネットキャッシュのプラスや負債資本倍率(D/Eレシオ)0・5%以下、自己資本比率55%以上を達成。「21年度の段階で財務的な強さを一定程度確保できた」(前島裕史常務取締役)ことを踏まえ、財務方針を見直すことにした。

特に資本効率重視の観点から、従来目標の「連結経常利益率10%以上」を「5年平均でROE8%以上」に変更した。同時に財務面では、自己資本比率50%以上に抑えるなど方針を緩和。前島常務取締役は「ROEをしっかり高められる形にした」とROE重視の姿勢を強調する。

一方でROEは単年度ながらも21年12月期に10%に達しており、自己資本比率も同期に55・2%にまで増えるなど、決して〞未開の領域뗉ではない。市場からの評価を得る上で「さらなるROEの向上や株主還元策の強化が必要だ」(大和証券エクイティ調査部の猪股彩香アナリスト)との指摘もある。 

同社も今回の方針改訂で十分とは認識しておらず、「市場からもっと評価されるように、今後も目標は必要に応じて見直す」(前島常務取締役)予定。自社の持続的成長とともに一層の株主還元につながる財務戦略を進める。

日刊工業新聞2022年5月26日

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