三菱自動車が小型車「ミラージュ」の販売を豪州で終了する背景事情
三菱自動車は2022年内に豪州で小型車「ミラージュ」の販売を終了する。強みの4輪駆動(4WD)技術を生かせるスポーツ多目的車(SUV)やピックアップトラックの販売に集中する。23年3月期にオセアニア地域で前期並みの9万7000台の販売を目指す。
豪州では21年11月に側面衝突の安全基準が改正された。ミラージュは同基準への対応を求められたが、三菱自は開発コストなどを総合的に判断して改良を見送った。
ミラージュは5ドア、5人乗りの小型ハッチバック。排気量1200ccで3気筒のガソリンエンジンを搭載する。調査会社のマークラインズによると21年の豪州でのミラージュの販売台数は前年比3・7倍の約2200台。
ミラージュはタイのチョンブリ県の工場で生産する世界戦略車。豪州以外に日本や米国などに輸出している。すでに豪州向けミラージュの生産を終了。在庫がなくなり次第、販売を終える。
三菱自は豪州でSUV「アウトランダー」やピックアップトラック「トライトン」などを展開。21年にSUV「エクリプスクロス」のプラグインハイブリッド車(PHV)を、22年内にアウトランダーPHVを投入して電動化需要にも対応する。
22年3月期のニュージーランドを含めたオセアニア地域の営業損益は286億円の黒字(前期は74億円の赤字)だった。全営業利益に占める割合は33%で主力の東南アジア地域に次ぐ利益を上げた。
日刊工業新聞2022年7月7日