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創業100周年で事業持ち株会社へ、キョーリン製薬ホールディングスが打つ布石

新薬中核に事業スピード重視
創業100周年で事業持ち株会社へ、キョーリン製薬ホールディングスが打つ布石

萩原豊社長

キョーリン製薬ホールディングスは2023年4月、創業100周年を迎えるのを機に、純粋持ち株会社から事業持ち株会社へと移行する。6月24日に開く定時株主総会での承認を経て、完全子会社の現・杏林製薬を吸収合併し、社名を「杏林製薬」に変更する。新薬事業をグループ経営の中核に据え、経営効率を高め次の100年に向けた布石とする。

新薬開発の難易度が年々上がり、研究開発に膨大な投資が必要になっている。さらに21年度から毎年薬価が改定されるなど、製薬業界を取り巻く環境は厳しい。キョーリンの足元の医薬品の売り上げは国内外とも横ばい。22年度は主力製品である過活動膀胱治療剤「ベオーバ」の出荷調整解除を8月に見込むほか、咳嗽治療薬「リフヌア」の発売などがあり業績は堅調に推移する見通しだ。

一方で、現状の体制では「親会社と子会社の間で重複するプロセスなどがあった」(荻原豊社長)とし、グループ体制の刷新により、ムダを徹底的に排除する抜本的な改革に乗り出した。「事業のスピード向上」が目下、最大の課題だ。効率化によって稼ぎ頭の新薬事業をより強力に進め、ジェネリック医薬品や感染症領域、医薬品製造受託事業を複合的に展開し、コスト競争力を高める狙い。

将来の事業の種となる研究開発パイプライン(新薬候補)の拡充でもスピード感をより重視する。グループ内のわたらせ創薬センター(栃木県野木町)と米アクティヴィックスバイオサイエンスによるキナーゼ研究の推進、京都大学との連携による繊維化研究が進展しつつあり、国内外とのオープンイノベーションによって創薬力を強化し、革新的な新薬の創出を目指す。

23年度は10年に掲げた長期ビジョン「HOPE100」の総仕上げの年となる。ステージ1で体制を再構築し、ステージ2では事業を変革した。成長トレンドへの転換を進める最終ステージ3の達成度は、グループの再編効果にかかっている。

日刊工業新聞2022年6月2日

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