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アモルファスの熱伝導率、応用数学「トポロジー」で予測

分子科学研究所の南谷英美准教授らは、電池材料などに応用されているアモルファス(非晶質)の熱伝導率を、応用数学の「トポロジー」を用いて予測する手法を開発した。アモルファスは複雑で特殊な構造を持ち、従来の解析手法ではそのミクロ構造と物理的性質や性能との関係性は分からなかった。太陽電池など向けの高性能アモルファス材料の物質設計に役立つ。また、アモルファス以外にも合金など乱れた構造を持つ材料の新規解析方法として期待される。

トポロジカルデータ解析の一種である「パーシステントホモロジー」によりアモルファスの構造が持つ特徴を抽出。これに機械学習と物性シミュレーションを融合し、構造と物性の関連を求めた。

具体的には、アモルファスシリコンを対象にモデル構造を多数作成し、各構造の熱伝導率とパーシステントホモロジーを計算。このリッジ回帰モデルを作り学習させることで、構造から熱伝導率を予測できるようにした。

これを用いて熱伝導率の高低を決めるミクロ構造を調べた結果、シリコン原子が作る五角形の構造が熱伝導率に強く相関することが分かった。この五角形がゆがんでできた四角形が存在すると、熱伝導率が低下する。

東京大学、青山学院大学、岡山大学との共同研究。

日刊工業新聞 2022年6月30日

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