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テレワークの日は分身ロボが出社する、CTCの取り組みが面白い

コミュニケーション促進
テレワークの日は分身ロボが出社する、CTCの取り組みが面白い

米テミのアバターロボット「テミ」を介して会議に参加することも可能。神谷町オフィス16階では、ロボットなど最新技術の活用事例を検討している。

伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、ロボットなど最新技術の活用事例を神谷町オフィス(東京都港区)内で検証している。2021年10月には、コロナ禍の社員同士のコミュニケーション促進に向け、米テミのアバター(分身)ロボット「テミ」を導入。今後ルール整備を進め、社員の誰もが活用できる体制を検討する。活用事例やノウハウを各事業部に展開して付加価値を高め、顧客へのサービス提供も視野に入れる。(狐塚真子)

コロナ禍で、テレワーク比率が8割を超えているCTC。「最新技術に関する情報などは自宅での情報収集に限界がある。コロナ禍では社員同士での“真面目な雑談”ができていないと感じていた」―。技術戦略室先端技術開発部の福田雄二郎エキスパートエンジニアは現状を吐露する。

社員同士のコミュニケーション活性化を目的に、執務エリアでテミを導入した。操縦者の顔がテミの画面に映し出されるため、対面のようなコミュニケーションが可能だ。

操作は、ウェブブラウザーや専用アプリケーション(応用ソフト)から、ゲームのコントローラーを使うような感覚で遠隔から行える。例えば会社の受け付けに常時スタッフを配置せず、必要な場合だけ遠隔から来客対応するといった活用方法が見込める。

あらかじめ停車地点となるランドマークを登録することで、同地点までの自律走行も可能。走行中に人などの障害物が現れた場合でも、センサーによって回避する。

テミを用いて社員に声かけをした際、「オンライン会議などとは異なり、コミュニケーションの取りやすさを実感した」と福田エキスパートエンジニアは話す。

CTCは神谷町オフィスでテミを活用。社員がテミを遠隔操作して、近くの社員に声をかけ、本を取ってもらっている

CTCでは、コロナ禍でなかなか出社できていない新入社員や、採用活動の取り組みの一環として、同ロボットを用いた社内見学などの活用法を想定する。今後、社内でのルール整備を進め、社員誰もが自由に使えるような体制も検討する。

テミには言語・画像解析技術などの機能追加も可能。ユーザーの声を聞きながら柔軟に対応していく方針だ。

神谷町オフィス内では、テミ以外の最新技術・サービスも展示されている。同社の技術戦略室を中心に、活用事例を検証。「最新技術やベンチャー企業の動向をウオッチし、今後どのような技術に対応すべきか、各事業部に提言する役割を果たしている」(中川裕路先端技術開発部長)。

現在は「リアルとバーチャルを融合した新たなコミュニケーション」と「誰もが使えるIT技術」を軸に最新技術をピックアップ。テミの他にも、オンラインコミュニケーションサービスの「トナリ」や、配膳ロボットの「ベラボット」などが稼働している。

今後、CTCでは、人間の業務の一部を代行するようなロボットの活用方法も模索。郵便物の確認、停電時の復旧作業など、用途に適したロボットの導入を検討する。社内での活用ノウハウを生かし、外販に向けてサービスとしての付加価値を高めていく。

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