海洋機構が光無線通信で世界初、自立型無人潜水機で海底から映像データ自動回収
海洋研究開発機構の沢隆雄主任研究員と中谷武志グループリーダー代理、前田洋作技術主任らは、海底ステーションから自律型無人潜水機(AUV)が光無線でデータを回収することに成功した。AUVがステーションを通過する10秒程度の間に深海映像のデータを回収する。通信速度が1000倍ほど向上する。海底ケーブルのない海域でもAUVがデータ回収に巡ることで広域観測が可能になり、地殻変動観測などの高度化につながる。
海底設置型の観測システムを水深1420メートルに設置して4Kカメラで海底の様子を撮影した。この映像データをAUVで回収した。光無線通信は光の明滅でデータをやりとりする。約10秒の通過時間で130キロバイトのデータを回収できた。これは世界初という。
従来の音響通信は通信速度が遅いため、映像などの大きなデータは本体ごと回収する必要があった。光無線通信は通信速度が10メガbps(メガは100万)と音響に比べ1000倍ほど向上する。AUVが自身も計測しながら多数の海底ステーションを巡り、データ回収するシステムを構想する。
日刊工業新聞 2022年6月2日