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「日本発のグローバル・スペシャリティファーマ」目指す協和キリンのグループ戦略

協和キリンは、くる病治療薬「クリースビータ」など自社創製のグローバル戦略品の成長をテコに、「日本発のグローバル・スペシャリティファーマ」になるための取り組みを強化している。

国内外の連結子会社は35社。北米、欧州・中東・アフリカ、アジア・オセアニアの三つの地域統括会社があり、傘下の子会社を統括する。日本を含めた四つの「地域軸」、地域を越えた連携が必要な「機能軸」、さらに「製品軸」を組み合わせた体制を構築している。機能軸には研究開発、品質保証、医薬品安全性監視活動(PV、ファーマコビジランス)などが含まれる。

2016年まで国内外統一のシステムはなかったが、18年のグローバル戦略品の発売をきっかけに、19年に人事管理やリスクマネジメントなど重要情報の統合業務パッケージ(ERP)の本格導入を始めた。各地域ごとにルールや仕事の進め方が異なることから「品質保証の手順や確認など同じオペレーションでできるグローバルスタンダードを確立しながら、システムを運用している」(山下武美常務執行役員戦略本部長)という。

製薬企業にとって重要なPVは、従来から各国の安全性情報を統合したデータベースがあったが、20年にPV本部を設置した。各地域からの副作用や感染症情報といった安全性情報の症例評価、データベース管理、外部委託先の管理などを担う。統一した手順の整備を進めた結果、作成した標準作業手順書(SOP)に従って業務を行う体制が整った。

薬の製造、販売面での戦略も共通認識にできるよう、毎月1―2回グローバル経営戦略会議を開催。地域統括会社が開くミーティングには経営陣が招待され、「現地従業員が将来ありたい姿と現状とのギャップを埋める戦略が語られる」(同)。グローバル展開が急速に進む中だからこそ「グループ全体でデジタルによる効率化、安定した収益構造の確立、持続的な成長を追求する」(同)考えだ。

日刊工業新聞2022年4月21日

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