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ダイセルがエアバック用ガス発生装置の韓国工場を閉鎖する背景事情

ダイセルは自動車エアバッグ用インフレーター(ガス発生装置)の韓国工場を2022年度中に閉鎖する。すでに4月に生産を止めた。品種統合や生産ライン自動化を含む、収益性向上を目的とした施策の一環。13年に同工場を稼働した際に見込んでいた受注量を確保できなかったことも影響した。韓国の顧客向けには、中国など他拠点からインフレーターの供給を継続する。

ダイセルはタカタのリコール問題に伴い、15年にインフレーターの緊急増産を開始。18年以降は代替需要が落ち着き、生産能力過剰から収益性が悪化していた。同社は抜本的な収益改善施策の一つとして、22年度末までにグローバルで生産最適化を図る方針を公表。日本や米国での生産を減らし、コスト競争力の高い中国やタイでの生産を増やすなどの取り組みを進めてきた。加えて、成長するインドの自動車市場を取り込むため23年末に現地生産を始める予定だ。

インフレーターはエアバッグを膨らませるガスを瞬時に発生させる部品。ダイセルのインフレーターやシートベルトプリテンショナー用ガス発生器など自動車用安全部品事業は、生産地統廃合の完了で大幅増益となる見通し。中期戦略では同事業で25年度に20年度実績比6・8倍の営業利益150億円を目指している。

日刊工業新聞 2022年5月12日

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