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精度最大88%、アルツハイマー進行をAIが予測する

富士フイルムは、国立精神・神経医療研究センターと共同で、人工知能(AI)を用い、軽度の認知障害患者が2年以内にアルツハイマー病へ進行するかどうかを最大88%の精度で予測する技術を開発した。同疾患に進行しやすい患者を対象にアルツハイマー病治療薬の臨床試験を行えば、新薬の有効性を正しく評価できると見込む。

高度な画像認識技術を応用し、少ない学習データからでもアルツハイマー病の進行を予測できるAI技術を確立。脳の磁気共鳴断層撮影装置(MRI)検査の3次元画像から、同疾患の進行と関連性の高い脳の海馬や前側頭葉を中心とした区域を対象に、深層学習を用いて微細な特徴量を抽出して予測する。

認知症患者は世界に約5500万人おり、高齢化に伴って2050年には約1億3900万人に達するとの予測がある。中でもアルツハイマー病は最も患者数が多い。より早期の軽度認知障害患者を対象にした臨床試験が重要だが、2年以内に進行する患者が2割未満と少なく、試験期間中に進行しないことから試験はほとんど成功に至っていない。

今回の成果は英科学誌ネイチャーの関連誌「npjデジタル・メディスン」に掲載された。

日刊工業新聞 2022年4月14日

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