「あまりにも急」…円安対策出来ている業界・出来ていない業界
帝国データバンク(TDB)が公表した「円安に関する企業の対応状況」に関する調査によれば、自社で円安に対して「対策を行っている」企業は56・5%だった。業界別では製造が68・0%、運輸・倉庫が64・9%で、6割を超える企業で円安の対策をしていた。
円安に対する具体的な対応策では、「原材料やエネルギーコスト上昇分の販売価格への転嫁」が31・7%でトップ。次いで「燃料費などの節約」が24・2%、「固定費削減」が17・4%、「仕入れ先・方法の変更」が8・9%、「既存の仕入れ価格の変更」が7・5%などと続いた。
製造業を中心に円安による仕入れ上昇分を販売価格へ転嫁している状況が多く聞かれ、「鉄鋼・非鉄・鉱業」で56・8%、「飲食料品・飼料製造」で52・3%、「化学品製造」で50・0%と、5割を超える企業で転嫁している。
対策している企業からは「輸入品については、運賃も高騰しているため、ルートの精査も行っている」(精密機械器具卸売・東京都)などの声があった。対策を特にしていない企業からは「あまりにも急な円安のため、『何もしていない』のではなく、何もできていないのが正直なところ」(医療用計測器製造・長野県)などの意見が聞かれた。
調査は8―11日にインターネットで実施。有効回答企業数は1573社。
日刊工業新聞 2022年4月14日