スバルとヤマハ発動機がEVで世界記録に挑む
SUBARU(スバル)が開発を進めるレース仕様の電気自動車(EV)「STI E―RA」が、ドイツ北西部のサーキット「ニュルブルクリンク」で世界記録に挑戦する。このE―RAは、ヤマハ発動機が電動モーターユニットを提供しているのが特徴の一つ。最高出力200キロワットの同ユニットを計4基を搭載し、1088馬力を誇る。スバル、ヤマハ発という日本勢タッグで、2023年以降に1周20・832キロメートルのコースで6分40秒の記録を目指す。(浜松・市川哲寛)
E―RAは、スバル子会社のスバルテクニカインターナショナル(STI、東京都三鷹市)が開発している2シーターのEV。化石燃料を使わないEVモータースポーツの頂点には「フォーミュラE」があるが、「(市販車をレース仕様に大幅改造して出場する)GTカーレースの将来の姿」(森宏志STI新規事業室部長)を見据え、GTカーとして開発を進める。
ヤマハ発がE―RAに供給するモーターユニットは、高効率のセグメントコンダクターを採用したほか、エンジン開発で培った鋳造技術や加工技術を駆使するなどしてコンパクトで高出力を実現した。同社はかつて4輪車レースの最高峰「フォーミュラワン(F1)」にエンジン供給するなどレーシングカーのエンジン開発で実績がある。
スバルは1月に幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催されたカスタムカー展示会「東京オートサロン」でE―RAのコンセプトモデルを出展し、国内外の車愛好者の間で話題となった。さらにニュルブルクリンクに乗り込み、世界記録を打ち立てて存在感を高めたい意向だ。
6分40秒という目標タイムについて森部長は「異次元の目標。ドライバーが意のままに操ることができる車でないと到達できない領域だ」と明かす。
STIとヤマハ発は会社の枠を超えた勉強会で交流しており、E―RAの開発でも意思疎通を図りやすい環境にあると言える。世界記録という高い目標への挑戦は、エンジニアにとってもモチベーションが高まる。森部長は「心強いチャレンジパートナーとシミュレーションをしっかり積み上げ、必ず目標に到達したい」と意気込む。
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