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廃熱利用の蓄熱材になる「層状構造二酸化マンガン」の可能性

東北大学の畠山拓也大学院生と市坪哲教授らはリガク(東京都昭島市、池田俊幸社長)と共同で、層状構造を持つ二酸化マンガンが、高速で繰り返し使える低温廃熱用の蓄熱材料として利用できることを発見した。蓄熱エネルギー密度は1立方メートル当たり1007メガジュール(メガは100万)で、市販のニッケル水素電池に匹敵する。層間に水分子が出入りすることにより吸放熱する新しい蓄熱機構で、120度―150度Cの低温度域で効率良く蓄熱できる。工場廃熱の回収や、昼間の太陽熱の夜間利用、自動車エンジンの暖気など幅広く応用できる。

結晶構造の異なる二酸化マンガンの各相を調査し、層間にカリウムや構造水を含むデルタ型と呼ばれる層状二酸化マンガンが、蓄熱エネルギー密度や吸放熱の可逆性、反応速度、耐環境性に優れた蓄熱材料であることを突き止めた。

この層状二酸化マンガンでは、結晶構造を保ったまま水分子が構造中の空隙(げき)に可逆的に出入りする「インターカレーション反応」が起こる。

層間の構造水は120度―150度C程度で水蒸気となり脱水反応が起こるため、層状二酸化マンガンを乾燥状態にするだけで蓄熱できる。

逆に、乾燥脱水状態の層状二酸化マンガンは、室温で大気中の水分を再び層間に取りこみ、放熱する。

工場廃熱の半分以上は200度C以下とされる。

低温廃熱を高効率に貯蔵する手段はほとんどなく、有効活用が進んでいない。

日刊工業新聞2022年3月25日

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