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東大が「SiC基盤」を超電導化。新原理の高速デバイス実現へ

東大が「SiC基盤」を超電導化。新原理の高速デバイス実現へ

SiC上グラフェンにカルシウムを挿入する(イメージ=東大提供)

東京大学の秋山了太助教と遠山晴子大学院生、長谷川修司教授らは、炭化ケイ素(SiC)基板に炭素原子一層分のグラフェンを作り、カルシウムを加えて超電導を発現させた。原理上はSiC基板の一面を超電導にできる。超電導で素子間の送電損失を低減するなど、新原理の高速デバイスにつながる。

SiC基板の表面に炭素原子が並んだ面にグラフェンを1層形成する。ここにカルシウムを蒸着し加熱するとSiCとグラフェンの間と、SiC基板の炭素原子の層とケイ素原子の層の間にカルシウムが挿入される。

するとカルシウムが挿入されたグラフェンが2層分でき、極低温で超電導になった。1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の配線に1マイクロアンペアの電流が流せる。従来の超電導理論で説明できない性質があり、新しい原理の超電導が発現していると考えられる。SiC基板上の素子を超電導配線でつなぎ、素子間の送電ロスをなくすなどの用途を提案する。

日刊工業新聞2022年2月28日

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