バイク以上自動車以下のEV、“下町モビリティ”が面白い
NNCモビリティ(東京都板橋区、轡(くつわ)義和代表理事)は、超小型モビリティーの開発を進めている。メンバーの東京大学生産技術研究所の久保登特任研究員や西川精機製作所(同江戸川区)などが手を組み、試作機1号車を完成・発表した。工夫を重ね、新たなナンバー区分の創出や社会課題の解決に向けて“下町モビリティー”が走りだす。
NNCモビリティは“Narrow(車幅が狭い)”“Near(近距離移動)”“Current&Community(交通の流れに乗る&地域社会との連携)”の頭文字を取った造語。久保研究員が提唱している新しいモビリティーの形だ。バイク以上軽自動車以下の規格の電気自動車(EV)で、高齢者や子育て世代などへの新しく安全な移動手段として、提案している。
試作1号車は、厚さ3ミリメートルのアルミフレームを採用して耐久性を高め、ドアを取り払って幅をとらないデザインに仕上げた。久保研究員は「値段は高いが長く使える仕様にすることで、50年くらいはもつ計算だ。買い切りや現在のカーシェアリングではなく、“世代”をまたいでシェアリングする。そうすれば、1世代37万8000円くらいでゴミを出さずに繰り返し利用可能だ」と説明する。
西川精機製作所は、トヨタ自動車の小型EV「コムス」(旧型)の枠組みを利用した改造車を製作。縦型の2人乗りで大きさは長さ2500ミリ×幅950ミリ×高さ1600ミリメートル、最高速度は時速50キロメートル。充電時間約13時間で約45キロメートル走行可能だ。また、NNCモビリティの協賛企業の橋本総業ホールディングス(HD)は、車いす対応型の小型モビリティーを発表。車体背面に車いすを搭載できるようにして、足の不自由な人との移動機会を広げる提案をした。
NNCモビリティでは今後、親子3人乗りの試作2号車を開発予定だ。だが現状、こうした超小型モビリティーは軽自動車と同じ規格で扱われるため、実用化しても維持費の負荷が大きい。それでも久保研究員は「開発を進めることで小型の4輪車の有用性を伝え、新しい車両規格の制定につなげたい」と前向きに突き進む。