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内燃機関の部品メーカーへ、お手本になるアイシンの投資戦略

1000億円投じAT増産、既存工場を活用し将来技術へも転用
内燃機関の部品メーカーへ、お手本になるアイシンの投資戦略

伊原保守社長(公式企業サイトより)

 アイシン精機は31日、約1000億円を投じて中国や日本を中心に自動変速機(AT)を増産すると発表した。ATの世界的な需要増大に対応する狙いだ。岐阜県と福井県に新工場を設置し、愛知県や富山県、中国の既存工場を増強する。さらなる拠点増強も検討し、2020年にATの世界生産台数を18年3月期比約25%増の1250万に高める目標だ。今後は中国などの完成車メーカーと合弁工場をつくることも検討する。

 グループ会社でAT世界最大手のアイシン・エィ・ダブリュ(AW)を中心に生産体制を強化する。まず岐阜県瑞浪市で9月取得した工場用地に、11月に生産会社を設置。18年12月にAT生産を始める。新工場のAT年産能力は40万台。中国・天津市のAT工場もラインを増設し、年産能力を30万台増やす。

 ATの部品も増産する。愛知県西尾市のアルミニウム部品工場、同豊田市と富山県射水市の鋳鉄部品工場を拡張するほか、福井県若狭町にはAT用トルクコンバーターの新工場を設置する。

 ATは手動変速機(MT)からの置き換わりなどで世界的に需要が伸びているが、電気自動車(EV)には使われず、中期的に需要減少の懸念もある。伊原保守社長は31日の記者会見で「今回の投資は5年程度で回収できる」と話した。ただ、さらなる増産についてはリスクもあるとして、中国の自動車メーカーなどとの合弁工場設置も検討する。
日刊工業新聞2017年11月1日
中西孝樹
中西孝樹 Nakanishi Takaki ナカニシ自動車産業リサーチ 代表
2020年までに270万基に及ぶATの増販を目指すが、その内、130万基の生産能力は今回の投資決定分で、残りの140万基は今後の検討課題だ。 130万基への投資金額は中古工場を活用し1,000億円と非常に効率的で、記事にある通り5年で回収できる。残りは、EV化時代をにらみ、更に効率化とリスク分散を考えた投資へ向かうだろう。JV化や固定費分割型なども含め、新しいビジネスモデルを目指す。ICE(内燃機関)関連で強気を発揮し、効率的に将来技術に転用を進める、国内ICE関連部品産業のあるべき戦略の一つだろう。

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