AM品質担保の手段に過ぎない…日本電産子会社のAI活用法

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AIによるノズル部の異物検出。ノズル先端部(左)とモニタリング中のカメラ画像をAIで解析(異物を検出した状態)

日本電産マシンツール(滋賀県栗東市、若林謙一社長)は、大型造形に対応する指向性エネルギー堆積法(DED)式の金属積層造形(AM)機「LAMDAシリーズ」で、人工知能(AI)による造形中の異常検知機能を提供している。造形の効率化とともに造形品質の安定化を実現。AM普及へのネックの一つである品質保証を支える技術として注目を集める。

金属積層では、使用する粉末の種類や造形中の過熱・冷却の程度によって金属の溶融する程度が変化する。そのため造形品質を維持する上で、溶融部の安定化と造形中の異常を早期に発見し復旧することが求められる。

そこで同社は造形状態の監視と自動制御の機能とともに、AIを使った異常検知機能を開発。造形中の異常を把握するには、人が長時間付きっきりで監視するのは現実的ではないため、「造形中に起きた異常を機械に判断させるという発想」(法山敬一微細加工システム事業統括)を元に、独自AIの搭載、提供を決めた。

独自のAIが造形中のメルトプール(溶融池)の画像を元に、ヒューム(蒸気)によるノズル先端部への異物付着や保護ガラスの汚れ、造形条件が不安定な時に発生するスパッター(付着物)などの異常を迅速に検出する。造形不良の防止に加え、造形ヘッドも保護でき、ダウンタイムの削減につなげられる。

日本電産マシンツールの3Dプリンター「LAMDA」

AIの学習には学習用画像1万枚とテスト用画像3万6000枚を用意し、認識率98%以上を実現した。

LAMDAにおけるAI活用で重要となるのが、造形中の様子を画像データとして収集し、正常な状態と照合して画像が正常かどうか、異常ならばどういう種類の異常なのかを分類する作業だ。

人の手では膨大な時間を要するため、学習用管理ツールを開発。監視中の動画から画像を切り取って異常の種類ごとに自動で分類・整理する作業を効率化した。ユーザー自身も同ツールで新たな異常パターンを機械に学ばせることで、「ユーザー自ら機械を進化させられる」(法山事業統括)ようになった。

今回、同社にとってAIはAMの品質を担保する一つの手段との位置付けにすぎない。ただ、AI開発以前は「ハードルが高いと考えていた」(同)。同社にとって、AIを機能として形にできたことは大きな一歩となったことも確かだ。今後も画像処理による品質保証にAIを活用する方針だが、AM以外の製品へのAI適用の可能性を切り拓いたとも言える。(編集委員・土井俊)

日刊工業新聞2022年2月4日

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