抜本的変革が求められる石油業界、ENEOSの決断

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石油業界は脱炭素化のまっただ中にあり、抜本的な構造変革が求められる。石油元売りは合従連衡を繰り返し、かつての10社以上から3社に収れんした。元売り7社と精錬2社が統合した業界トップのENEOSホールディングス(HD)は、2021年にも脱炭素をキーワードに大きく動いた。

 

まずJSRのタイヤ素材であるエラストマー事業を約1100億円で、さらに再生可能エネルギー大手のジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)を約2000億円で買収することを決めた。一方で道路舗装大手のNIPPOの株式を約1900億円で売却し非上場化、また英国の油田探鉱の子会社を約1800億円で売却し北海油田から撤退する。脱炭素化に向け資産を大胆に入れ替えた。

 

「構造変革の当面の布石は打てた。方向性が定まったので、それを育てていく」と大田勝幸社長はいう。JSRのエラストマー事業買収は、石油需要が減る中で石油化学産業を伸ばすためのケミカルシフトだ。世界のタイヤ需要はまだ拡大すると見られている。電気自動車(EV)化の中で、EVに合う低燃費タイヤを開発することも可能であり、化学事業を収益の一つの柱に育てる方針だ。

 

JREの買収は再生可能エネルギー事業を一気に拡大するために時間を買った戦略だ。狙い通り「JREを持つことで再エネ事業者として見てもらえ、さまざまな話が来るようになった」と、大田社長は買収効果を強調する。同社をグループの再生エネ事業の中核とし、ENEOSの部隊も合流させる。再生エネは脱炭素社会の中心的存在だが、まだ百花繚乱(りょうらん)。今後、洋上風力発電の開発にJREの人材と知見をどう生かせるかがカギとなる。

 

石油需要はこれから大きく減っていく。脱炭素燃料として水素や合成燃料の開発も進めるが、移行期には既存事業の延長で収益を上げながら先進技術への投資が必要だ。製油所などの余剰設備の活用も課題。巨大グループの強みを最大限生かし、足元と中長期の両方の課題に挑戦する。

日刊工業新聞2022年1月13日

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