富士通が米大と実現目指す「ソーシャルデジタルツイン」ってなんだ?
富士通と米カーネギーメロン大学は、人々の動きを高精度に予測してデジタルに再現するとともに、人々の行動特性に基づく未来の行動や起こり得るリスクを可視化し、多様な施策の立案を支援する「ソーシャルデジタルツイン」の実現に向けた共同研究を始める。
ソーシャルデジタルツインとは人やモノ、経済、社会の相互作用をデジタルに再現。社会の実態を把握することで、多様で複雑化する課題の解決に向けた施策立案などを支援する技術群。
人々の行動をデジタルツインで事前検証し、効果や潜在的なリスクを事前に把握することで、スマートシティー(次世代環境都市)の重要テーマとして掲げる都市交通や環境、経済などで行う各施策の改善や人々の行動変容を促すことが可能になる。
社会実装に向けては交通規制や車両移動状況などの実データを用い、動的に人流の発着地を推定して交通量の管理や調整を行うことで、二酸化炭素(CO2)排出などの環境問題や経済効率などの都市問題を解決するための施策の有効性を検証する。これにより、都市における人々の動きに関するソーシャルデジタルツインの基盤技術の構築を目指す。
共同研究では、2次元情報から3次元情報を推定する「ニューラルレンダリング」技術も活用。カメラ映像から設置角度や障害物との重なりで部分的に見えない人の動きを仮想的に生成し、的確に捉える高度なセンシング技術や、好みや状況により変化する人々の行動特性に関する行動科学、行動経済学の知見と人工知能(AI)を融合した行動予測技術を開発する。
人々の行動とモノや経済、社会との関係性を実世界の変化に追従してデジタルに再現するための「ヒューマンモデル」と「ソーシャルモデル」も構築。各施策の事前検証に役立て、複雑な社会課題を解決する有効な施策を効率良く導く。
例えば、都市の道路網の実データを活用し、日々変化する交通需要を動的に把握できるモデルをソーシャルデジタルツイン上に構築。交通量にあわせた車両規制や通行料を変動させる道路課金(ロードプライシング)などを事前検証することで、都市交通の施策の有効性を検証する。