アルミが14年ぶりに高値圏、背景にウクライナ情勢と五輪
自動車や建材などに使うアルミニウムの国際相場が、約14年ぶりの高値圏まで上昇している。ウクライナ情勢の緊迫化を背景に、世界生産の約5%を占めるロシアからの供給不安が続き、相場が押し上げられている。最大消費国である中国の春節(旧正月)休暇が終了し、7日に大口需要家などが市場に復帰したことも上昇に弾みをつけた。
国際指標となるロンドン金属取引所(LME)のアルミ地金相場は、8日に一時トン当たり3200ドル台半ばまで上昇し、2008年以来の高値をつけた。欧米によるロシアへの経済制裁でアルミ供給が途絶する懸念が高まり、需給の逼迫(ひっぱく)が警戒されている。
7日にはバイデン米大統領とショルツ独首相が会談し、ロシアがウクライナに再侵攻した場合、ロシアに大規模な経済制裁を科す方針を確認した。中国の旧正月休暇が明けて、7日から市場に戻った中国の需要家やトレーダーが「緊迫が続くウクライナ情勢を買い材料と判断した」(日本の商社)との見方もある。
市場では原油や石炭などの化石燃料も高止まりし、電気を大量消費するアルミ精錬コストが上昇していることも相場の強材料となっている。また、中国では冬季北京五輪・パラリンピックの開催に伴い、大気汚染防止のため経済活動が制限され、石炭火力発電やアルミ精錬に支障が生じていることも、相場を押し上げているとの見方もある。
日刊工業新聞2022年2月10日