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防衛省から引き合い、「4000km飛行」で量産目指す無人機の全容

防衛省から引き合い、「4000km飛行」で量産目指す無人機の全容

長距離無人機の飛行実験

フジ・インバック(横浜市磯子区、田辺誠治社長)は、自社開発のエンジン固定翼無人機で3000キロメートル飛べるめどを付けた。火山活動中の西之島への空撮飛行で実証した。今後、この知見を基に機体軽量化やエンジン改良に取り組み、年内に飛行距離を3500キロメートルに伸ばす計画。2年以内に新型機で4000キロメートルの飛行実現を目標とする。飛行ロボット(ドローン)大国の中国が東シナ海で無人機の調査飛行を活発化させている状況を踏まえ「3年以内の量産を目指す」(田辺社長)方針だ。

無人機は全長2800ミリ×翼幅6000ミリメートルのサイズで機体重量は46キログラム。エンジンは自社開発の75cc4サイクルエンジンで、燃料はガソリンのほか灯油も使用できる。海上自衛隊の護衛艦では安全確保のためガソリン使用を禁じている。

同サイズの海外無人機の飛行距離は2500キロメートル程度。3000キロメートルを超える長距離飛行は空気抵抗を極力減らす工夫のほか、両翼内に燃料を積むインテグラル構造にすることで実現した。インテグラルにすると機体バランスが難しくなる問題もあるが、独自技術とノウハウで解決した。

小サイズの機体は風速や風向によって、飛行性能が大きく変動する。西之島上空の飛行では横風で風速7メートル、向かい風で同15メートルの悪条件だったにもかかわらず3000キロメートル飛行可能なデータが出せたとし「金属を炭素繊維にしたり、ネジをチタン製にしたり、エンジンの燃費を向上することで4000キロメートルに伸ばせる」(同)。防衛省や海上保安庁など官庁から引き合いが多数来ているという。

日刊工業新聞2022年2月9日

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