データ利活用で新事業、経産省が企業を促す一手
経済産業省は、会費を払い商品として提供されるデータやコンソーシアム内で共有されるデータなどの「限定提供データ」に関する指針を4月にも改訂する。限定提供データの要件の明確化や、元情報と加工情報が同一でなければ不正競争に該当しないとする記述などを追記。限定提供データの指針を見直しデータ利活用を促進することで、企業の新事業の創出や商品・サービスの高付加価値化が期待される。
限定提供データは自動走行用地図データや販売時点情報管理(POS)システムで集めた商品の売り上げデータなど、他者との共有を前提に一定の条件下で利用できる情報を指す。2019年に限定提供データに関し不正競争に該当する具体例などを示した指針を策定。約3年ぶりの改訂となる見通し。
今回の改訂では、限定提供データの要件の一つである「限定提供性」の具体例を追記。「特定の者に提供する」という記述の「提供する」という行為は、実際にデータを提供する場合だけでなく、利用しうる状態に置くことにあると記述。具体例として、企業が蓄積した大量のデータを顧客ごとに部分的に提供する場合、データ全体を提供する扱いとした。さらにクラウド上の保有データへの顧客のアクセスを認める場合もデータ提供と見なすこととした。
また事業者から取得したデータを利用して加工情報を作り第三者に開示するデータプラットフォーム(基盤)に関する記述を追加。事業者から得た元のデータと開示データが同一の情報にあたらなければ不正競争に該当しないとした。
日刊工業新聞2022年2月1日