ドローン物流ビジネスの企業間競争は間近。スタートアップが実証で備える
料金・便数テーマ、23年商用目指す
A.L.I.テクノロジーズ(東京都港区、片野大輔社長)は、年内に都市部、地方の双方で飛行ロボット(ドローン)を活用した物流実証実験を各10件程度行う方針だ。都市や地方、山間部や住宅地付近など異なる地理的条件や客層に応じたノウハウを積み、2023年以降の商用展開に生かす。目視外飛行の規制緩和を盛り込んだ改正航空法が22年末に施行されるのを機に、ドローン物流ビジネスの活性化が見込まれており、企業間競争に備える。
A.L.I.テクノロジーズは21年から新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の受託事業で高知県四万十町において、ドローンを利用した物流や防災、老朽インフラ点検、森林測量の実証実験を実施。物流では高齢化で運転免許証を返上した交通弱者が多くいる山間部において、点々と存在する集落に生活必要物資の定期配送を行った。
同社は独自のドローン管制システム「コスモス」で強みを持つ。交通弱者を抱える自治体は全国に数多く、ドローン需要が見込める一方で、「事業」として見た場合に配達料金をどうするかや、1日何便で運行させるかが重要テーマになっている。
都市部では交通弱者や買い物難民は発生しない一方、住宅地や建築物の付近でドローンを飛行させなければならない課題がある。こうした条件は自治体それぞれで異なるため、ノウハウを多く持つことで23年の事業者間競争に備える。
輸送料金を取る実践的な配送サービスはエアロネクスト(東京都渋谷区)が開始済み。事業化を見据え、今後も同様の企業が増えるとみられる。
日刊工業新聞2022年1月27日