“ロボットと人”街で共生、三菱地所が東京・大手町で実験
三菱地所は25日、大手町フィナンシャルシティ(東京都千代田区)でエレベーターや自動ドアと連動したロボットの稼働風景を報道陣に公開した。同社は経済産業省が実施するロボットに優しい環境構築を促す予算事業「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」に参画し、オフィスや商業施設などでのロボット導入を進めている。すでに警備や清掃、運搬などに約100台のロボットを活用しており、今後さらに環境を整備し、ロボットと人が共存できる街づくりを目指す。(大城麻木乃)
屋内配送ロボット「ユンジ・デリ」がエレベーターを使って飲食店から弁当を運ぶデモに加え、屋外配送ロボット「X―Area Robo(クロスエリアロボ)」がビルの屋外店舗から弁当を屋内に運ぶデモ、清掃ロボット「ルーロプロ」がエレベーター移動して清掃するデモをそれぞれ公開した。
三菱地所の太田清DX推進部長は「人手不足の解決に加え、コロナ禍で非対面・非接触の観点でロボットのニーズが拡大している」とし、さらに活用範囲を広げることに意欲を示した。
同社とともに会見を開いた経産省ロボット政策室によると、ロボットとエレベーター、自動ドアの連携は「実用レベルにある」(福澤秀典室長補佐)とした。今後は、床材の工夫や段差をなくすなどロボットが走行しやすい施設における物理特性の標準化が必要になることに加え、複数のロボットを同時制御する「『群管理制御』システムが課題」(同)と指摘した。
また、人との共存においては「ロボットの走行が遅くても待ってあげるなど人の寛容さも求められる」(同)とした。
ゲストとしてデモに参加したロボットの吹き替えを得意とする声優の関智一氏は「マンガの世界と思っていた話が現実になってきた」と語り、ビルの中を悠然と走行するロボットの姿に驚きを隠せない様子だった。