IoTで防災・防犯。NTT東日本など3社が自治体をスマート化

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避難者の属性に応じたボタンを押下するだけで、クラウド上に避難状況をリアルタイムに共有できる

NTT東日本、丸紅情報システムズ、ニフコの3社が、防災・防犯分野などの課題解決に向けたIoT(モノのインターネット)サービス提供を推進している。振動や温度差などで発電する「エネルギーハーベスティング(環境発電)」を用いた無線通信技術「EnOcean(エンオーシャン)」を組みこんだ端末と、IoTデータ基盤をパッケージサービスとして安価に提供。地方自治体のスマート化実現に貢献したい考えだ。(狐塚真子)

「3社それぞれの強みを生かすことで、高性能なサービス構築を実現する」―。ニフコホームソリューション営業課R&Dグループの中村高章課長は、3社協業の背景をこう話す。NTT東日本のネットワーク環境や、丸紅情報システムズのシステム構築・営業力、ニフコのデバイス開発力を活用することで、迅速なサービス化を可能にしている。

「充電や電池交換が不要なため、必要な時に検知ができないリスクを防げる」(NTT東日本の石橋宏IoTサービス推進担当課長)利点を生かし、行方不明者の増加が問題となる高齢者や、携帯電話・スマートフォンを持参できない小学生向けに、登下校時の見守りソリューションを提案する。

利用者はエンオーシャンを活用したクリップ型センサーや、センサーを搭載した靴・杖を身に付けるだけでデータを送信可能。地域の公共施設など一定間隔に受信機を設置することで、クラウド基盤上に位置情報とその時刻が記録され、家族や自治体の職員などに迅速に情報共有できる仕組みだ。

具体的には、ランドセルなどに取り付けたセンサーが発する電波の受信機を学校や自宅、学童施設などに設置。児童が通学しているか、学内にいるかなどを保護者が遠隔から確認できる。学童施設に通う児童の下校や登室の状況もチェック可能だ。

近年多発する自然災害発生時に有効なソリューションも提案する。センサーを用いて、要支援者の避難状況を遠隔から確認できるシステムのほか、避難所での業務効率化を支援するシステムの検証も実施。避難者の状況を受付で確認し、避難者の属性に応じて分類・配置した複数のボタンを押すだけで、クラウド上に状況をリアルタイムに共有できる仕組みを構築した。

現在は避難人数などを紙に記入し、逐次、自治体が運営する災害対策本部へ電話報告する方法が一般的。同システムの活用により、混乱が見込まれる避難所でも、迅速で確実な情報共有が可能になると期待される。

11月からは羽田イノベーションシティ(東京都大田区)で、3社が取り組んできた各ソリューションの紹介を始めた。今後も衛生管理や、水田・鳥獣檻の見守りなどの用途で、自治体とエネルギーハーベスティングデバイスの最適な活用方法を検証する。低炭素社会の実現という観点からも、3社の共創事例は注目を集めそうだ。

日刊工業新聞2021年12月23日

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